愛されマナー 接客マナー・ビジネスマナー・新入社員研修|アカデミー・なないろスタイル 樋口智香子(千葉 銀座)

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レズビアンやゲイ、性的マイノリティ(LGBT)の人との働き方

「彼氏は、いるの?」

こう尋ねられたとき、たとえ交際している人がいても、Yesと答えられない女性がいます。

お付き合いしているパートナーはいるけれど、相手が”彼氏(男性)”ではない、LGBTの女性です。

LGBTとは、性的マイノリティの総称。レズビアン(女性同性愛者)ゲイ(男性同性愛者)バイセクシャル(両性愛者)トランスジェンダー(身体の性と心の性が一致しない人)の他、たくさんのセクシュアリティを含み、LGBTと表現します。

もし、あなたの職場で一緒に働いている人が、LGBTであったら。

何気ない雑談のつもりで訊いた「彼氏いるの?」という質問も、相手を困惑させているのかもしれません。

そうしたことを、深く考える機会をいただきました。

LGBTでも働きやすい環境とは

研修会社のノビテクで行われた、講師勉強会。

「時代の変化を受けいれる~LGBTでも働きやすい環境づくり 職場のダイバーシティを考える~」というテーマで、LGBT研修講師・LGBTコンサルタントの増原裕子さんの講演を拝聴しました。

増原さんは、東京ディズニーランド初の同性婚の結婚式をなさいました。幸せそうな二人の花嫁が、ミッキー・ミニーに祝福されている姿を、わたしもメディアでお見かけしたことがありました。

現在はダイバーシティの一環として、LGBTの人が働きやすくなる環境づくりを、各種企業に提唱されています。

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性はグラデーション。あなたの性は?

増原さんのお話で印象的だったのは、「性はグラデーション」という言葉。

性には、4つの要素があります。

・からだの性
・こころの性
・好きになる性
・表現する性(服装や髪型、言動など、性表現)

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(研修資料より)

からだは女性だけれど、心は男性、そして好きになるのは男性、普段の服装は女性・・・など、複雑な性の持ち主もいます。

確か、からだは男性として生まれ、心は男性、女性を好きになり、結婚して子供もいるけれど、普段の服装は女性(女装?)という大学教授もいらっしゃいました。

男性と結婚し、出産して子育てを終えたあとに、女性を好きになり子連れで同姓再婚するレズビアンカップルもいます。

わたしは、からだもこころも女性で、好きになるのは男性です。

しかし、増原さんのお話を聞きながら、自分の性を考えたときに、いろいろな記憶が蘇りました。

高校生の頃、宝塚歌劇に夢中になり、中でも当時のトップスター涼風真世さんの大ファンでした。涼風さんは男役でしたが、舞台を降りての姿をひと目みたいと、何時間も劇場の前で待ちました。視線が合ったり握手ができた日は、もうたいへん。ドキドキドキドキと胸の高まりが止まらず眠れぬ夜を過ごしました。

あれが、恋愛感情とは全く別もの、とは言いきれない気がするのです。

またあるときは、これは数年前のことですが「Lの世界」という、レズビアンの女性たちをテーマにした海外ドラマに、はまっていたこともありました。

日頃は、海外ドラマなどほとんど見ることはありません。それなのになぜ、この作品を見ようとチョイスしたのか、見はじめると、寝る時間を惜しんでシーズン6までがっつり見てしまったのか、明確な理由を語ることができず、あえて言うなら「惹かれたから」なのです。

こう考えると、「自分の性って、果たしてどうなんだろう?」と考えたときに、ひとことでは言い表せないと思ったのです。

LGBTは特別なものではなく、誰のなかにもグラデーションのように存在するもの。だからこそ、特別視するものではない。

こう、思ったのです。

LGBTの人の支援者としてできること

LGBTの人は、身近に存在します。かつてわたしも、同じ職場にLGBTの人がいたこともあったし、仲の良いレズビアンカップルの友人もいます。

実際、LGBTは、全人口の13人に1人いると言われ、これは左利きの人とほぼ同じ割合です。きっと、本人がカミングアウトしていないだけで、もしかしたら、あなたの身近にも存在しているのです。

では、そうしたLGBTの人たちに、わたしたちが支援できることはないか。支援者としてできることを、増原さんのお話から抜粋します。

【カミングアウトされたら】

・信頼して打ち明けてくれたことに感謝する
・何か困っていることはないか聞く
・アウティング(他者に伝えてしまうこと)に注意し、秘密を守る
・性生活についての質問をしない

・自分に気があると思いこまない

【支援者としてできること】

・差別用語をつかわない(ホモ、オカマ、レズ、おとこおんななど)
・単語を工夫する 「彼女いるの?」→「パートナーはいるの?」
・「男は結婚して一人前」「もっと女らしく」など性の固定観念を押し付けない
・LGBTのニュースに関心を持ち、SNSや普段の会話でシェアする

そして、もうひとつ、

・Ally (アライ)であることを積極的に表明する

というものがあります。

Allyとは、自分はLGBTではないけれど、LGBTを支援しようという意思のある人のこと。

Allyであることを表明するシールもあります。

このシールを貼っていると、LGBTの人がカミングアウトしやすくなったり、困ったことを相談しやすくなります。例えば、就職活動などで、面接官のパソコンにこのシールが貼ってあれば、就活生は、必要に応じて自分がLGBTであることを申告しやすくなる、ということです。

わたしも、さっそく自分のパソコンに貼りました。

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これからの時代、研修業界でも、LGBTについて考えなければいけません。

男性女性の身だしなみ規定、男性の待機姿勢、女性の待機姿勢など、男女別に分けた研修内容をお伝えすることがあるからです。

こうしたことは、これまで議題にも上がらなかったはず。時代の流れが、どんどん働き方を変えてゆくことを痛感したひとときでした。

明るくはきはきと、ときにユーモアを交え、LGBTの立場から、働き方について生の声をお聞かせいただいた増原裕子さんに心から感謝いたします。

多様な人が、それぞれの個性を尊重し、思いやれる世の中になりますように。

・・・

*増原裕子さんの情報はこちらから→株式会社トロワ・クルール

 

これで良くなる!新入社員と先輩社員のコミュニケーション

新入社員研修のシーズンも後半。

企業に伺うと、昨年度、新人研修を受講してくださった社員の皆様に再会します。昨年の4月にお会いしたときとは、顔つきも雰囲気も全く違い、成長なさった姿に感動するばかりです。

さて、こうした先輩社員と新入社員。お互いに緊張を持って対面するのだと思いますが、いち早く打ち解けてもらうためには、どのようにするとよいと思いますか?

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先輩社員の成長ストーリーが、新入社員の心に響く

実は今年、ある企業で、新たな取り組みをいたしました。

2年目の先輩社員にも、新人研修に参加していただいたのです。

先輩社員には、あらかじめ以下のようなレポートを配布いたしました。

【先輩社員へのアンケート】

1 あなたがこの1年、仕事をしてきた中で、うれしかったことや、やりがいを感じたことは何ですか?

 

2 「失敗をした」と感じた経験はありますか?その経験から、何を学びましたか?

 

3 あなたの後輩となる新入社員に「これは、ぜひ伝えてあげたい!」と思う激励のメッセージをお書きください。

当日は、先輩社員の体験発表として、各自、このレポートを発表してもらいました。

まずは、うれしかったこと。

「仕事を任せてもらえるようになった!」
「自分が手がけた商品が世の中で売られているのを見た!」
「上司から質問をされるほど、知識が身についた!」

このような成果を、誇らしげに語ってくださいました。

次に「失敗をした」と思ったことと「失敗から学んだこと」

誰しも、ミスや失敗はあります。新人なら、なおのこと。各自、顔面蒼白になるほどの失敗談があるものの、そこから学んだこと、を強く語ってくださいました。

「小さなことでも、確認することが大事」
「話を聞いてくれた上司に感謝」
「わからないことがあったら、どんどん周りに聞くことが大事」
「ミスを防ぐための、新たなオペレーションを導入した」

これはもう、涙なしには聞けないストーリーばかり。

新入社員の皆様は、先輩の話に釘付けになり、熱心にメモをとっていました。

現場で汗した体験談ほど、新人社員の心に響くものは無い

新入社員にとっては、キラキラと輝く先輩たち。

成果の報告では「自分も1年後、責任ある仕事を任せられる喜びを味わえるのかもしれない!」という期待。

失敗談と、そこから学んだことの体験談では「あんなに立派に見える先輩たちにも、こんなストーリーがあるんだ」という気づき。「先輩の言葉に、”わからなければ相談すること”という言葉が何度も出てきたので、相談しやすい職場なんだと安心しました」という声もありました。

最後に、先輩から新人へのメッセージを伝えてもらいました。

私が特に心に残っているのは、「仕事は、何かひとつでも、自分が楽しいと思えることを見つけることが大事」という言葉。

新人の皆さんもきっと、自分に必要なメッセージを受けとったことでしょう。

先輩の体験発表の時間を設けたことで、新入社員との距離感は、ぐっと近づきました。

研修カリキュラムのヒントにしていただけたら、幸いです。

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